こんにちは、みてみて(@look_mam_look)です。
第158回直木三十五賞候補作は、以下の5作です。
彩瀬まる「くちなし」(文藝春秋)
伊吹有喜「彼方の友へ」(実業之日本社)
門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社)
澤田瞳子「火定」(PHP研究所)
藤崎彩織「ふたご」(文藝春秋)#直木賞— 日本文学振興会 (@shinko_kai) 2017年12月19日
彩瀬まる「様々な世界観を繊細に紡ぐ短篇集」――第158回直木賞候補者インタビュー https://t.co/GMhlW2Xwtq #彩瀬まる #直木賞
— 文春オンライン[文藝春秋] (@bunshun_online) 2017年12月19日
直木賞ノミネートおめでとうございます!!
6年前から注目していた作家、彩瀬まるさん。ほんと好き。
正直、わたしの隠し玉的な作家さんでいてほしかったこともあり複雑・・・!笑
しかし!今回のノミネートをきっかけに1人でも多くの方に彩瀬まるさんの魅力が伝わるとうれしいので、(直木賞受賞へ向けての応援も兼ねて)勝手におすすめ記事を書きます。
彩瀬まるさんとは?
1986(昭和61)年千葉県生れ。上智大学文学部卒。小売会社勤務を経て、2010(平成22)年「花に眩む」で「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。著書に『あのひとは蜘蛛を潰せない』『桜の下で待っている』『やがて海へと届く』など。手触りのある生々しい筆致と豊かなイメージに溢れた作品世界が高く評価されている。小説の他の著書として、東日本大震災の被災記『暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―』がある。
新潮社、著者プロフィール
アラサー的になんといっても注目してほしいのは、1986年生まれというところ!
これまで同年代の作家さんと言えば「蹴りたい背中」の綿矢りささんとか、「蛇にピアス」の金原ひとみさんでしたが、二人は1985年生まれのわたしより年上。
勝手に親近感わきまくり!とにかく若手の注目株です!
彩瀬まるさんの持ち味はなんと言っても繊細な文筆力
彩瀬まるさんの作品からは静かで温かい空気が感じられます。その温度っていうのは、ひとつひとつの場面や心情を丁寧に丁寧に拾い上げてられた言葉から発せられてる。
なんでこんなに表現が緻密なんだろうって思ってたら、インタビューを読んで納得。とにかくふだんから「よく読み、よく見ている」。


一回読んだ本の内容をここまで覚えてるなんて驚異的です。注意深さや丁寧さが筆にも表れてる・・・!
作品を通じてとても濃密な時間を楽しめるので、新刊が出るたびに「大切にじっくりと読みたい!」という作家さんです!
彩瀬まるさんの魅力が伝わるおすすめ本3冊!+1冊
とにかく繊細で綿密な描写が魅力なので、わたしは短編が特に好きなんですよね。
なので、初めての人や小説をふだん読まない方でも読みやすいと思うものを選んでみました!
彩瀬まるさんの小説1作目!「骨を彩る」
彩瀬さんの単行本第2作目は連作短編集。一話一話は短編だけど、少しづつ繋がって一つの物語になっています。
2013年の出版なので書かれた時はまだ20代なんですね・・・!
緻密な描写が魅力なんですが、この作品では小説を読んでいるのに色鮮やかな景色が目の前に浮かぶんです。
ペンネームにもある「彩る」が含まれたタイトルと表紙の意味。それが最後の1ページに一息に命を吹きこんで、読了後にすがすがしい余韻が残ります。
彩瀬さんの作品をいくつか読んで「孤独と優しさ」が共通のテーマだと感じていて、人が誰しも持ち合わせている心の機微に、温かく触れられたような気がしました。
彩瀬まるさんはアンソロジーでも魅力的!「明日町こんぺいとう商店街」
共通のテーマで書かれた数名の作家の作品をまとめたアンソロジー。
短編が多い彩瀬さんはいくつかのアンソロジーに参加しているんですが、その中でも読みやすく、アンソロジー作品としてもとてもよかったので 、こちらを紹介!
この路地を曲がれば、そこはもう、すこし不思議な世界の入口―。ひとつの架空の商店街を舞台に、七人の人気作家がお店を開店し、短編を紡ぐほっこりおいしいアンソロジー。商店街のマスコット「招きうさぎ」がなつかしくあたたかな物語へと誘います。
Amazon商品紹介ページより
第一巻に収録されているお店はどれも個性的で、それでいて温かかったり、しんみり泣けるお話もあり。その中で彩瀬さんの作品は「伊藤米店」。
おにぎりが食べたくなる。米をかみしめたくなる。そしてひじきの煮物を作りたくなって枝豆を買いに行きたくなる作品です。
アンソロジーなんだけど、どの短編もちょっとづつ繋がっていて連作短編集としても楽しめるので、おすすめの1冊です!
デビュー作は震災の体験記!「暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出」
実は彩瀬さんのデビュー作はノンフィクション。それも実体験を基にしたルポなんです。
デビューへ向けての準備をしていた2011年3月11日。東北に住む友人を訪ねるためにたまたま乗っていた常磐線の車内で被災。
津波から逃げ、土地勘もない場所でさまよった「被災旅行者」。
彩瀬さんの魅力は細やかな描写だとは何回も言ってきたけど、寒さや暗さそして海の臭いといった五感に訴えかけてくる筆致が圧倒的で、本を読んでいてとにかく震えが止まらなかった。
本に焼き付けられているのは「あの日、あのとき」の悲しみ、もどかしさ、戸惑い、命。
西日本に住んでるわたしにとって東日本大震災はどこか現実味がなかったけど、読まなきゃいけない、知っておかなきゃいけない、名作でした。
名作なのに絶版!?「文芸あねもね」
東日本大震災のあと、R-18文学賞受賞者を中心に集まった10人の女性作家が全額チャリティ寄付のために作った同人誌。
R-18文学賞の読者賞受賞の彩瀬まるさんももちろん参加しています。
- 休筆中だった豊島ミホさんがこの企画限りで寄稿(これまた本当にいい作品だった)
- 「校閲ガール」の宮木あや子さんが「雨の塔」のスピンオフを寄稿
- 柚木朝子さんの「私にふさわしいホテル」の第一話はここに収録
- 最後に登場する山本文緒さんの包容力
と、本当に素晴らしい作品集!なのに絶版・・・!
元は電子書籍なんだからなんとかkindle化されてほしい!古本や図書館で探しだしてでも読む価値のある一冊です!
まとめ:とにかく彩瀬まるさんの作品を読んで!
わたしのイチ押し作家、彩瀬まるさんのオススメ本を紹介してきました。
実はここに紹介したものは初期の作品ばかり。理由は、「わたしが出産後、長編をなかなか読めなくなったから。」です。
彩瀬さんの作品は本当に丁寧でパワーに溢れていて、それでいてすごく優しい。なので、忙しい育児の合間に細切れで読みたくないんです。
大切に、じっくりと小説の余韻に浸りたい。そんな読書体験ができる彩瀬まるさんを今後も応援し続けます!
とにかくしか言ってない気がするけど、とにかく読んで!
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